がん治療 休職日記 毎日日曜日

がん治療で休職しました。休職後の生活の変化とがん治療、抗がん剤の副作用について書いています

がん治療 休職日記 毎日日曜日 人工肛門と東京都

 一時、人工肛門で過ごしました。再発時の直腸にある原発巣の切除手術の後の事です。

 初回のがんは直腸がん。その切除後に吻合部からの再発でした。再発の手術で直腸はほぼ無くなり、大腸も大きく切除となったのです。直径の違う大腸と肛門の括約筋との縫合が上手くいかないのは致命的との説明がありました。人工肛門はその新たな吻合部を使用せずに過ごすための処置です。

 

 お腹の右下腹部から小腸が飛び出しています。痛みもなく、便の垂れ流しです。採便袋をお腹にくっつけ便を貯めます。くっつくのはシール状になっているから。採便袋が一杯なると便をトイレに捨てに行きます。袋自体は長く使っても3日以内に交換との事。通常1日〜2日で交換するとのことでした。

 便は皮膚に触れるとかぶれます。飛び出させた小腸が人工肛門なら、その周囲の皮膚がかぶれるのです。なので採便袋の接着方法もあり、病院で訓練しました。

 

 生涯人工肛門の方がいるというのは知識では知っているものの、やはり自分が人工肛門で過ごすとなると身につまされます。大変だなってつくづく思うのです。ただ、そう思う私は一時的な処置と聞いているので、回復さえ順調なら自然排便に戻ります。

 

 採便袋は患者が購入しなくてはなりません。結構な費用です。1ヶ月排便のための袋なり、かぶれ防止のパウダーなり、便を拭くためのシートなり、皮膚を清潔に保ちつためのシートもあります。1ヶ月の費用1万を超えます。排便するという人間にはつきものの代謝のための費用。

 

 そんな事情もあり、看護師さんから公的機関から費用の援助があると聞きました。退院後に市役所に電話し相談。ホームページでは給付は永久的に人工肛門の人、回復の見込みのない人のみ費用の給付が可能との内容。するとどうでしょう、給付がないなら困ることもあるでしょう、判断は東京都なので申請はして良いですし申請は受付ます、市として東京都に書類送りますからとの事。なんか助かったと思いました。門前払いでは無いのですから。

 

 人間は誰でも排便します。その当たり前の生きるための生理現象に月に1万掛かるとしたらどうでしょう。そんな困難な人助けるための法があってそれで人々が助かるのだなと、日本の福祉に感謝する気持ちが起こりました。

 主治医に診断書を書いてもらい、所定の提出物を揃え市にて提出します。あとは連絡待ち。するとどうでしょう、市からの連絡にガッカルする結果。市経由できた東京都からの通知は、私の案件は審議案件となったとの事。

 確かに永久に人工肛門で回復の見通しが無い人が対象とあります。知ってはいたのです。ただ、人の生活で、排便に費用が掛かるのは、生きづらさにつながり、その軽減を考えての立法としか思えませんでした。立法にはその立法で国民を助けようとする哲学があるものだろうと。

 期間が短いことがその哲学に反するとは思えなかったのが落胆の理由。人工肛門の設置も閉鎖も全身麻酔の手術が必要で、急に始まって急に終わるものでは無いのです。

 東京都は3ヶ月ごとにしか審議のための会議を開かないとの事。誰のための行政なのだろうと思いました。さかのぼっての給付は無いというし、私の場合3ヶ月〜4ヶ月で人工肛門閉鎖の予定です。都民の何をファーストしているのかとかなりの疑念を抱きました。

 

 3ヶ月後の審議の結果は、人工肛門閉鎖後に来ます。適応外の通知。判断は遅いし、手続き報告のみの冷たい対応の印象は拭えません。行政の窓口としての東京都って何だろうとか?都民がファーストって何だろうかと疑問に思いました。

 健康体では無く、生理現象のため費用が掛かる患者がいることをせめて行政にも知って欲しいと思うのでした。4ヶ月で4万超の費用をかけています。行政にガッカリしたというエピソードです。

 

 がんの治療にはさまざまな場面があります。人工肛門はその一つ。今は副作用対策。休職もまた治療中の場面の一つです。運よく給付金含め環境があることに幸福と運の良さを感じています。