がん治療 休職日記 毎日日曜日

がん治療で休職しました。休職後の生活の変化とがん治療、抗がん剤の副作用について書いています

がん治療 休職日記 毎日日曜日 最近の若い人達

 休職してかえって豊かさを感じるようになったと前回の文章で書きました。そのことで思い出した事があります。いわゆる最近の若い人達です。

 

 新入社員、若手スタッフから定年間近なおじさんまで、組織には世代の広がりがあります。古い世代がよく言います。「最近の若い奴らときたら…」まぁ悪口です。つまり若者の価値観が理解できないという事。世代間の価値観の違い。

 

 私も若い世代の理解のためにいくつも研修を受けました。簡単に理解できない層へのアプローチのため。中間管理職の大事な仕事、次世代の育成が主な目的です。

 研修中の講師でさえ言います。「最近の若い奴らは…」というような批判はずっとあるが、本当に今の若い人たちは全く理解できなし、おかしいと。ただ、現状の分析だけでは現状に対応できませんという研修内容。よく分からなくてもきっとどこかにやる気スイッチはあるのだと。

 若い層の特徴として、学生時代からSNSで経済界の著名人、文化人なりと繋がっていて、ちょっと上の先輩の説教なんてなんて無意味と思っている様です。

 コスパが何より大事で、特に時間については尚更大事に思っていて、二度手間とかは最悪の事態なのだそう。例として先輩が訓練と思い、失敗覚悟でやってみてごらんと言うと、失敗前提なんてあり得ない、やり方があるなら教えて欲しい、それで上手く行くなら最短でできるしやり方わかるなら今後も対応できるますよねという主張。失敗してやり直す訓練なんて時間と労力の無駄、そんな回答をするそうです。

 

 私の部下に1年ちょっと退社した若手スタッフがいました。ちょっと上に2人の先輩がいて、その先輩が昭和の猛烈サラリーマンのような働き方をするスタッフでした。もう一世代古い働き方。私から見ても時代錯誤的で、何度も無理せずに現状から人員不足を社に訴えようと提案しても、やり切りますと聞かないスタッフ。

 退社した若手の最後の発言です。「数年後にあの先輩達みたいな働き方したくありません、あんな風になりたくない」でした。自分の時間を大事にし、コスパを気にかけ、今の世の中の先端の意見を知っている若いスタッフには昭和もモーレツ社員なんて奇異にしか映らなかったのでしょう。

 実際には局所的な現象なのですが、そこまでの分析をせず退社を決めたのかと思います。転職先は現状と同内容の会社。つまり業務自体は嫌ではなかったって事。中間管理職の責任を感じた退職でした。未来を信じさせてやれませんでした。スタッフごとの特徴が社風と勘違いしたのかも知れません。

 

 言いたいのは、若い人が分からないという事ではありません。存外生きていくという観点から見ると、普通の感覚の持ち主なのではという事です。

 

 自分の人生を自分の事情を優先して生きている。だから時間を大事にして、先端の考えに敏感で、コストに見合ったリターンを求めるし、変なストレスなんて馬鹿馬鹿しいのかと。会社人間に価値を見出していません。自分時間を確保し、会社では自分の好きな業務を中心に働きたい。理想かも知れませんが理解できます。

 

 そして、私はこうした考えを休職したからこそ、感覚を共有できるなと感じています。私も私の事情を最優先して治療に専念することにしたのです。自分事情を大事にしたい層が存在する事自体、自然なことかと思うのです。休職しようと考え始めた時から、時間が自由、空間が自由、スケジュールが自由になったらと、そう考えても決して悪い事とは思わなくなっています。

 

 サラリーマンが会社事情を常に優先して勤務し、40年近くを生きるのだと考えるなら、休職することでそうした考えから、一足先に抜け出すことができました。