がん治療 休職日記 毎日日曜日

がん治療で休職しました。休職後の生活の変化とがん治療、抗がん剤の副作用について書いています

がん治療 休職日記 毎日日曜日 急な発熱

 がん治療で抗がん剤の効果がありました。今は、経過を見るとの診断で、一旦抗がん剤が休止されています。

 

 抗がん剤の副作用は様々で、その元となる投薬がないのですから、徐々にダメージを受けた身体が回復しているものと期待しておりました。大事をとって、急な外出もしないし、体力をつけようと家の中ではこまめに動きます。

 

 抗がん剤休止から5週間になろうとする時期、急な発熱がありました。風邪を引くにも外出もしていないし、家族の誰かが外から菌を持ち込んだなら、その家族も同様の症状が出るはず。しかしピンピン元気です。

 不明な発熱に5日間悩まされました。一時は39.1度まで発熱です。フーフーいって顔は真っ赤。とてもじゃありませんが、副作用を気にするどころか解熱をどうしたものかと悩みます。

 

 この間に経過観察の診療の予約がありました。発熱していると建物入り口で入れません。病院にその旨連絡し、年明けに診療をずらしてもらいました。何だか、良くなると期待を持てる生活に水を差す様な出来事。がっかりです。

 

 発熱がひどく、日中横になります。家内は出かけていて、家には息子しかいません。すると息子が私の症状を心配してくれたのです。体温計を持ってきて、熱を測ってみろとか、何か飲み物でも持ってこようかと。

 何もすることがなく横になる時間が多いと、昔のことを思い出すものです。散歩の途中で眠くなって、抱っこをせがむ息子を抱き上げ、そのまますぐに寝入ってしまったことや、ベービーカーから後ろ向いては私の顔を覗き込んでにっこりしていたこと、百貨店の喫茶店で抹茶パフェを食べながらおいしいねと言っていたことなど、様々です。

 

 高校生になったとはいえ、こいつも親に気を使うのかと感慨深いです。感慨ついでにお茶を入れてもらいました。きっと茶葉の量がわからないし、お湯の温度も分からないのでしょう。暑くて苦いお茶を不慣れな感じで寝室まで運んできます。

 一口そのお茶を飲んで私はいうのです。「あぁ、美味しい。ありがとうな」。世の中にはもっといいお茶を飲ませるところが沢山あります。それでもそう言います。あの小さかった坊主がここまでできる様になるとはという親心です。

 

 仕事中心で何もしてやらなかった割に、がんの回復時に発熱した父を哀れに思ったのでしょうか。

 ただその時の私の居間での独り言があります。

「親の心子知らず」

「立てば這え、這えば歩めの親心」

「親思う心にまさる親心」

 でした。

 

 弱りきった父親を見て、私の繰言を思い出したのでしょうか。その真実は分かりません。真実として言えるのは、私が出されたお茶を美味しいと思ったということです。