がん治療 休職日記 毎日日曜日

がん治療で休職しました。休職後の生活の変化とがん治療、抗がん剤の副作用について書いています

がん治療 休職日記 毎日日曜日 庭の草むしり

 春先、夏前の頃です。

 小さな庭があり、雑草が生えます。草むしり、雑草取りをする話。

 

 がん治療では体力維持が大事。抗がん剤の効きが良い患者は、体力維持ができている患者だというデータがあると聞きました。身体を動かして体力を維持するのは、実は治療の為とも言えます。ショッピングセンターを歩くのでも良いそうです。気分転換と体力作り共にできるなら尚良いでしょう。

 

 小学校の頃、祖父母と母が草むしりをしている時に学校から帰宅することがありました。いつもの光景です。「いつも草むしりしているけど、いつ終わるの?」と祖母に聞きます。「終わると最初のところにまた草が生えるんだよ」そんな答えをもらいます。「じゃぁずっと終わらないんだ…」が私の感想。

 それでも子供でも時には草むしりの手伝いもします。「草は根から取るんだ」とか、「細かい草でもきっちり取るんだ」とか、草むしりにも注意がありました。腰は痛いし、手は疲れる、虫は出るし、暑いしで、重労働。

 

 その思い出の中、庭の草むしりをたとえ10分でもします。地面が少しづつ綺麗になっていきます。効果がはっきり分かる作業。疲れると、かつての祖父母と母の体力を尊敬できます。当時の私は手伝いと言っても途中で放棄して最後まで草むしりができなかったなぁと思い出します。子供だったからでしょうか、草むしりを離脱したくせに、手伝ったという満足感だけはありました。

 

 この歳になって、がん治療を行い、身体の自由が効かなくなっています。その身体での草むしり。小さな庭の草むしりをしながら昔を思い出します。あの頃の大人たちの心情を、50年以上かけてやっと理解する入り口に立っている。随分時間がかかりました。

 

 当時、明治生まれの祖母は腰も曲がり老齢でした。母からすれば、義母が諦めずずっと草むしりするので、農家の嫁である母はどんなに疲れても途中で止めることはできなかったでしょう。祖母が当たり前に取り組むなら、途中で疲れたので止めますなんて言い出せないと思います。お互いにきっと疲労の中、身体が動きづらくなる中、続けていたのかもしれません。

 

 地味な作業、無心の作業の効用として、祖父母と母の思い出が私の草むしりを通じて、家の猫の額ほどの庭に広がる気がします。