がん治療 休職日記 毎日日曜日

がん治療で休職しました。休職後の生活の変化とがん治療、抗がん剤の副作用について書いています

がん治療 休職日記 毎日日曜日 再再発

 休職を決めたのは3回目の抗がん剤投与での副作用が原因です。再再発のがんで抗がん剤投与、治療を始める前には当然再再発の診療を受けています、その時の事です。

 

 「肺に複数個の転移があります」と伝えられたのは、再発の治療が終了したと確認する場でありました。「やっと終わる」と思っている私がその終わりを確認する診療で、再再発の話を聞くのは、「また、始めましょう」と言われるのと一緒。「振り出しにもどる」…子供の頃やったすごろくゲーム、ボードゲームのゴール間近にあるマス目の言葉。

 サイコロを振ってそのマス目だけは避けようと念じて転がします。それでもそのマスになった時、たかがゲームでも今生の残念を一心に集め、徒労と無念とやるせなさを感じたあの光景。その時と一緒です。

 

 がんでボードゲームと同じ心境になるとは思いませんでした。「振り出しに戻る」言い得て妙、その通りの心境です。そこから立ち直るのに1ヶ月くらいかかりました。人間のがっかりするってこんなに長く続くのかと、自分でも不思議なくらいの落胆です。

 

 思い返せば、再発の時の事。診療で腹膜播種(フクマクハシュ)と言われます。お腹にがん細胞が散らばっていて、手術適応外との診断。そこからが抗がん剤の2回目の治療。延命がどれくらいできるのかと、人生の延長戦の長さを常に思う日々でした。

 5ヶ月後でしょうか、手術して原発層を切除できると聞いたのは。若い時に見た漫画のガンダムの最終話を思い出します…アバオアクーで、戦火の中アムロガンダムを見つけコアファイターで脱出を図る前に出た言葉。主人公のアムロが言います「まだ助かる」。そんな情景ですよ。

 「原発巣が切除できる」と「まだ助かる」。

 

 その治療が終了するのを聞く診療での再再発ですから、かなりがっかりです。そうして副作用から休職へとつながります。もう、がっかりからは気持ちは解放されています。気持ちの切り替えには時間の経過が必要です。そして休職。

 

 休職してからの方が世界が広がったと以前書きました。そう再再発の効用とも言えます。サラリーマンからの一時離脱。離脱のお陰で見えてきたものがります。人は働くだけが人生でないという事。決して労働を否定しているのではありません。

 

 会社人間という言葉がありますが、会社の事情を優先し、会社に利益をもたらすために働く競争原理。ただそれだけではない世界があることを強く認識できるのです。

 家族もそうでしょうし、子育てや、趣味の時間も。数えればキリがないほど会社事情とは別の世界があります。今までは、そうした世界に時間を使っていませんでした。

 朝起きて会社行って、拘束時間で8時間以上。帰宅して食事やお風呂入ったら、就寝時間までの数時間だけが自分時間。ゆっくりしたい時やリラックスしたい時もあります。その数時間に集中して別の世界を堪能することができていませんでした。

 子育て一つとってもそうです。高校生が相手なら、子供自体が親と向き合わない心理の時も多いです。時間があるからこそ取れるコミュニケーションもあるのだと気づく訳です。

 

 時間の使い方の見直し。子育てなら、どんなバカ息子との会話でも、今はそんな時間が大事に思えてなりません。